大正時代の木材市場を振り返る(2019)

明治時代の前期は明治維新の影響により人々の間の不安感を拭い去る事ができずにいたものの、後期の東海道本線の開通により飛躍的に木材市場が発展しましたが、大正時代に入ると明治後期の飛躍的な勢いに陰りが見え始めます。
陰りが見え始めた原因には木材市場の根底にある物事や仕組み自体は影響しておらず、むしろ林業の技術は年々向上していた上に機械を用いた製材や工場の増設という要素で高い成長率を見せていましたが、陰りが見え始めたのは大正6年の自然災害が影響しています。
日本は地震や台風などの自然災害が発生しやすい国なので、今日においても高い頻度で自然災害に見舞われていますが、歴史を振り返ると大正時代にも甚大な影響を及ぼした自然災害が度々発生しており、中でも木材市場に深刻なダメージを与えたのが大正6年に発生した高潮です。
来襲した高潮の高さは観測史上最大の規模を誇り、多くの家屋が浸水被害に見舞われてしまっただけではなく、あまりにも大きな高潮により食い止める役目を果たす土手が破壊されてしまい、その結果大量の角材や丸太が流出し被害を尚一層大きなものになりました。
こうした大正6年の高潮に限らず大正時代ではもう1度大きな災害に見舞われており、それが大正12年に発生した関東大震災です。
本所から南に下るようにした燃え広がっていった炎は堀に浮かんでいる筏にまで燃え広がり、木材市場の要となる木場は猛烈な炎に包まれてしまいました。
出荷を控えた木材は著しく乾燥状態にあった上に、出荷に際して比較的乾燥している良質な木材に焦点を絞って伐採していたため、燃え広がった後は鎮火まで非常に長い時間を要し、結果的に消失した木材の量は大正時代の木材市場において1年分に相当する量でした。
1年分を消失してしまったという事は当然の事ながら1年間にわたって木材市場は閑古鳥が鳴く様相に陥ってしまいましたが、その後に行われた震災復興事業が功を奏し再び木材市場が活性化し、日本の一大産業に進化し定着しました。