北朝鮮の瀬取りの何が問題なのか(2019・令和元年)

 

「瀬取り」とは、船舶から別の船舶に貨物積み替えることを指しますが、一般的には大型船舶から小型の船に移動するケースが多いです。これは大型で港に接岸できない船の荷物を、接岸できる小型船に移す目的で行なわれるケースが多く、日本でも江戸時代には多く行なわれていたものです。現在は港湾が整備され、接岸の問題が少なくなったため瀬取りは行われなくなりましたが、別の問題で瀬取りが注目されるようになりました。北朝鮮によるものです。

 

この問題は、北朝鮮が受けた経済制裁に相当する物品を、別の船籍の船舶から移し変えて輸入している問題で、石油などが密かに密輸され国際問題となっているもの。これでは経済制裁の効用がなくなり、加えて覚せい剤などの違法な取引でも瀬取りが行われることが増え問題となっています。

 

北朝鮮はそもそも、2017年9月に国際連盟加盟国から採択された国連安保決議2375号によって、瀬取りを全面的に禁止した経緯があります。瀬取りを行うことも関与することも禁止され、理由は核・化学及び生物兵器、その運搬手段などの拡散を防ぐためです。北朝鮮はこれまで数々の国連安保決議に違反したため国連加盟国がこれが採択されたのです。

 

しかし北朝鮮は餓死者が多数出ているほど困窮し、経済的に行き詰っていることは各国周知されていることであり、対応を間違うと何をするか分からない国家であることでもありますから、制裁方法を含め、対応策は悩ましい部分が多分にあります。実際決議が出て以降も、北朝鮮が瀬取りを行なっている様子は複数の国が関与していることと同時に確認され、2018年は前年の数倍に増えたことが発表されています。現在北朝鮮による瀬取りは、アメリカ・韓国・日本などから監視され、アメリカは在日米軍嘉手納飛行場を拠点に航空機による監視、オーストラリアやカナダは哨戒機を派遣し監視活動を実施、イギリスはフリーゲート艦での監視を実施中です。

 

これに加えて国際海事機関(IMO)は、船の登録国を偽装したり、位置追跡装置を消去して航海する北朝鮮を意識した船に対する取り締まりを強化しています。

 

 
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