台湾の木材市場の現況(2019)

台湾ではスギ、ヒノキといった樹種が主力となっていますが、1990年代から天然林の伐採が禁止されていることもあって、木材市場とも密接なつながりを有する木材加工などの関連産業が衰退しつつある様相を呈しています。台湾の木材市場は内需よりも外需に多くを依存する状況で、安価な合板などの生産で知られますが、国内の製材業者で実際に操業しているのは400社ないし500社程度の水準にとどまります。しかもそのほとんどをいわゆる中小企業が占めていることもあいまって、工場の運営上の効率性にも問題を抱えている状況です。輸出入に関していえば、日本とは地理的に近く、戦前からの人的なつながりもあるという特徴から、丸太や製材、工芸品や家具などの流通は見られますが、まだまだ市場規模は大きいとはいえない状況です。
台湾固有の問題として、特に国内需要の乏しさは特筆されるところで、現況での木材自給率は1パーセント程度にとどまっています。もともと亜熱帯性に近い気候のために堅牢な鉄筋コンクリート造が好まれること、成熟した社会に共通の悩みである人口減少が起こっていること、政権交代などの政治情勢の不安定化がみられることなどが複合して、最近における木造住宅の需要の低迷をもたらしていることが原因の一端として挙げられます。
もっとも業界でもこのような状況への危機感は共有しているところであり、天然林の伐採を商業ベースでも解禁するように国に対して継続的に要望・陳情活動を行ういっぽうで、天然林に代わって人工林の割合を伸ばす取り組みも進めており、今では全土の森林面積の2割程度がこうした人工林と置き換わっているところです。また政府自体もさまざまな利用促進政策を通じて国内での木材自給率を高める目標を掲げています。木材市場の不況はいったんは底入れしたものとみられますが、いまだ本格的な回復基調にはありませんので、高付加価値化や効率化などの推移を見守る必要があります。